[読書]ハードカバーも持っているのに買ってしまう…

バッテリー (4)
バッテリー (4)
posted with amazlet on 05.12.26
あさの あつこ
角川書店 (2005/12)
巧、3歳の短編収録ということで迷わず買ってしまったのですが、巧と豪の接触よりもじいちゃんのエピソードにうっかり泣いてしまいました。祖母が亡くなった後だけに痛い…ううう(号泣)。

けれども、2歳の巧と豪の邂逅に、ちょっと醒めた気分になってしまったのですよ。
いっそすれ違うだけにして欲しかったような。確かに、巧が一時期引き取られていたというエピソードは本編自体にありましたから、こういう出会いはアリなんでしょうけど、奇妙な違和感が。
リアルな感情の積み重ねで構築された「バッテリー」の世界が、一気に物語の作為に侵されてしまったような感触があって。
「バッテリー」の魅力のひとつに、徹底的に個人の心理に拘って、物語としての世界をある面放棄した世界にあると思うんですよ。
だからこそ、6巻の最後に釈然としないものを感じつつも、とりあえずは納得したんですけど。
でも今回の短編で、一気に作り物臭さが漂ってしまった感があって。
良い出来だとは思うんですが、それだけに煮え切らないものがあります。

いや、個人的な好みの問題だとは思うんですけどね…。自分でもうまく言語化出来てないので申し訳ないんですが。
…でも、あさの作品全てに通じる問題なのかな、という気もしなくもないです。
いや、物語として読むと、あさの作品て割とツラい部分が多いように感じるんですね。展開や終わり方の理不尽さや不完全燃焼感が最後に残ってしまう。
ちょっとうまくまとまらないので、この事についてはまた後日言及します。