2007年印象に残ったマンガと時々小説色々

去年このエントリの文章仕上げるのに1時間以上かかったんですが…。
今年はどれくらいかかるのか見物です。ははははは(死)
でもせめてこれくらいは文章として残しておかないとコミック担当ブログの名がすたる、ということで(日頃更新全然してないし…)。

…てなことで去年のエントリと同じような形式で羅列しようと思います。
ただ、今年は去年に比べると全然一般向けマンガ読んでません。

というのも、何故か突然BLに目覚めてBLマンガ&小説を読みまくっていたからです。

これまで殆ど読んでなかったのに…。よしながふみ作品ですらBLは回避していたというのに…。
個人的にはゲシュタルト崩壊な1年でした。

以下、テーマ別に並べていきます。
あと、去年ランキングに入れていたものは、なるべく重複しないようにしてます。
(2007年1月4日のエントリをご参照下さい)

  • 期待の新星・新シリーズ

光の海 (フラワーコミックス)

光の海 (フラワーコミックス)

羽衣ミシン (フラワーコミックス)

羽衣ミシン (フラワーコミックス)

実は「羽衣ミシン」が出た時に読んだのが最初だったのですが、新人らしからぬ巧さと叙情的でありながら現実的な展開に心を鷲掴みされました。
書き下ろしのエピローグのすみずみにまでスキがない。
「光の海」は人魚をテーマにした連作短編で、百合スキーとしては収録されている「波の上の月」が白眉でした。ただアンハッピーエンドでなかったらもっと良かったのになあ…。でもこちらも実に味わい深い作品です。
今後の活躍が今一番楽しみな作家さんかもしれません。

チェーザレ 破壊の創造者(4) (KCデラックス)

チェーザレ 破壊の創造者(4) (KCデラックス)

非常にゆっくりなテンポで展開しているんですが、緻密な描き込みについ見入ってしまいます。
個人的には川原泉の「バビロンまで何マイル?」を何となく思い出したり。
一体どの辺で物語が終わるんだろうか、という所も含め今後が気になります。
4巻ではついにルクレツィアも出てきたし。

オトメン(乙男) 第4巻 (花とゆめCOMICS)

オトメン(乙男) 第4巻 (花とゆめCOMICS)

あちこちで言及されているので、今更ここでどうこう言うのも何ですが、
ドラマ化でもされたら社会現象になるんじゃないでしょうか。
そういう所も含め楽しみです。

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

イカップル版「クッキングパパ」ともいうべき作品。
この作品の何が素晴らしいかって、芸術的なまでにバランスの取れた献立だと思うのですよ。
究極のメニューも豪華なおもてなし料理も、毎日三食口にするご飯の重要さにはかないません。
安い材料でいかに美味しい料理をバランス良く作って満足するか、という視点が実に良い。
実際に作れそうなレシピの手軽さもまた良いのです。
主人公の仕事が弁護士ということで、法曹界志望だった作者の本領発揮というところでしょうか。お仕事ものマンガとしても楽しみです。これは末永く続いて欲しいなあ。

  • ベテランの底力を感じる作品

黒博物館 スプリンガルド (モーニング KC)

黒博物館 スプリンガルド (モーニング KC)

邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

古き良き冒険小説を思わせる前者、ホラーテイストと男の格好良さを感動で包み込んだ後者とも、藤田さんの巧さを十分に発揮した良作だと思います。
やっぱり少年漫画を描いて欲しいような気もするんですが、表現の限界を乗り越えようと思ったら、青年誌しかないのだろうな、と納得する部分もあり…。
次の展開がますます楽しみです。

    • 「蝉時雨のやむ頃」

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

向田邦子あたりのホームドラマを見ているような、甘酸っぱくほろ苦い情感が漂う佳作です。
「ラヴァーズキス」のキャラクターが出てくる辺りもファンのツボを押さえてますねえ。
ゆっくりかみしめて読みたいマンガです。

ベテランなどという域を超えてますが…佐伯かよのさんの絵で萌え要素を押さえたマンガという発想が意外でした。
いやでも十二分に萌えましたが何か。
見た目幼女なのにツン要素たっぷりな女性キャラが出るだけで読む価値はあります。
伏線の引っ張り方もさすがベテランというべきか。
是非萌えマンガ大好きな方の感想が聞きたいマンガでもあり。

  • BL

ありえない二人 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

ありえない二人 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

誰にも愛されない (ビーボーイコミックス)

誰にも愛されない (ビーボーイコミックス)

おひっこし? (ジェッツコミックス)

おひっこし? (ジェッツコミックス)

1月に「誰にも愛されない」をうっかり買ってしまったのが運のつき。
それから怒濤のBL読みまくり状態に陥ったのですが、結局マンガの中で一番スキなのはユギ作品らしいということで、今の所落ち着きました。
このブログでも何度か言及していますが、きちんとエンタメしているのが素晴らしいです。
これからBL以外の作品を描く事が増えていく作家さんだとは思いますが、BLも描き続けて欲しいなあ。

いわずもがな。周りのキャラクターが動き始めて奥深さを増してますねえ。

複雑な人間関係をきちんと統括出来ているのが凄い。とてもこれが初連載とは思えない…。

もしかしたらそろそろメディアミックスの話も出てくるのかなあ。
個人的にはじっくり育てていって欲しいです。つーかクリス先輩萌え!

まさかの実写映画化が衝撃的でした。いや、フェスも衝撃的でしたが…(笑)

この作品について語りはじめたら多分もの凄い事になるんじゃないかっつーくらい言及する所があります。ここでは割愛しますが。
あまりの凄まじさにただ息を呑むばかりです。

あとは2006年のものとも結構かぶるかも。

  • 2007年完結したマンガ(21世紀少年はまだ読めてないので割愛します…!)

デーモン聖典 第11巻 (花とゆめCOMICS)

デーモン聖典 第11巻 (花とゆめCOMICS)

まさかのハッピーエンドに驚きました…。でも樹作品でこんなに読後感がすっきりしているのは久しぶりかも。

    • 「花の名前」

花の名前 第4巻 (花とゆめCOMICS)

花の名前 第4巻 (花とゆめCOMICS)

思わぬダークな展開にどうなる事かと思ったのですが、落ち着く所に落ち着いて良かったなあと。
大学時代を思い出して切ない気分になりました。とても初連載とは思えないような良くできた作品だと思います。

金色のガッシュ!! 31 (少年サンデーコミックス)

金色のガッシュ!! 31 (少年サンデーコミックス)

大トリです。
最終回の前の回で清麿・ガッシュと一緒に散々泣きました。最終回では暖かい涙が流れました。
勝っても別れ負けても別れ。結末はわかっているのにこんなに辛いとは思いませんでした。
でも、本当に素晴らしい最終回だったと思います。
7年間ずっと読んできて良かったです。
私の中では多分、「うしおととら」に並ぶ作品になりました。
でも! ウォンレイとリィエンにだけはハッピーエンドを!
…と言ってたらキリがないのですが、この長い物語を描ききった雷句さんに感謝の言葉を。
最初から最後まで、素晴らしい作品を本当にありがとうございました。
この作品が2007年ゆうきさらのベスト1です。

  • 番外1・印象的だった小説

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

全巻一気読みして、物語にどっぷり浸る快楽を再確認させてくれた作品です。
バルサの・チャグムの紡ぎ出す物語に、世界に心地よく溺れました。
力強い作者の筆致に流されるように10巻一気読みする楽しさときたらもう。

シリーズ1巻刊行からリアルタイムで追いかけていた作品がついに完結。
読みながらこっちも泣きました。
最後に幸せなカリエの姿があって本当に良かった。
そしてこの作品、「大奥」の家光編と同じシチュエーションがあって。
「主人公が複数の男性の子供を産む」(ネタバレにつき反転して下さい)というのは、分析対象として非常に面白いんじゃないかと思いながらも、
まさかのエドカリエンドに大喜びでした。
長いシリーズですが、張ってある伏線に全く無駄がないんですね。初期の頃の台詞一つ一つにも全て意味がある。
「女神の花嫁」であるラクリゼと「女神」カリエの揺らがぬ友情の物語としても読めるし、色々な解釈の仕方がある作品だと思います。
せっかく完結しているので、是非全巻一気読みに挑戦してみて下さい。

  • 番外2・未読だが店でブレイクした作品

以下は仕掛け販売したらがっつり売れた作品たち。

「スイッチガール」は新刊が出ると既刊が動きまくります。11月から12月にかけて版元品切れで大変な目に遭いました(涙)重版は早くかけてくれよ〜。
そして「いじめ」は丁度「ライフ」の展開をしているときに一緒に展開してたんですが、ぶっちゃけうちの店では「ライフ」より売り上げ良かったんですよ…。
もうすぐ累計が3桁に到達します。うちの店は小学生のお客さんが多いんですが、それでも異常な売り上げでした。つーか未だに売れてるし。2006年から07年にかけて「どうぶつの森」のマンガが売れに売れた時期があったんですが、ペース的にはそれに並んでます。
どうぶつの森の1巻はもうすぐ累計売り上げ200冊に達しようかというレベルなんですが。
うちの店新刊はそんなに売れないのになあ…。まあ、店の特色だと思う事にしよう。

…ということで以上です。案の定1時間半くらいかかりました。つ、疲れた…。