妖怪ばなし2点

美しき妖怪を友(というか惚れられている)に持つ女学生の浪漫譚、最終巻。
素直に人外のモノと結ばれる展開にならない所が、この作品の奥深さなんだと思います。
最後まであやかしの棲まう世界の濃密な雰囲気に酔わせていただきました。
読んでてよかったなあ。これが最初の連載だというのがまた凄い。
人の持つ光と闇の部分に最後まで真正面から向き合った作品でした。
物語が終結した後の心地よい余韻に浸る事が出来て、それもまた良かったです。
ここの所最終回にちょっと、という作品が続いたので特に。

実はこの作品については、以前勤めていた書店でたまたま買ってハマってしまい、ちょうど同時期に店でもフェアをする事になったので、お店宛に色紙をいただいたという事がありました。

そして懺悔。その担当の振りをして「及川さんファンだったんです〜」という文面を版元に送っていたのは実は私なのでした。恋文には代筆が付きものという事で(笑)

…というのも、及川さんについては、実は以前京極同人で活動されていた時からのファンだったのですよ。メロディでデビューした、という事を知った時には大変驚いたのですが、読んでみてなるほど、と納得出来ましたし。
当時から非常に印象的なお話を書かれる方だったのですが、プロデビューしてますます表現力が研ぎ澄まされているようで。
こういう作品に出会うと、色々な同人誌を読んでて良かったとつくづく思いますねえ。

積ん読本になっていたのを勢いで読み始めたら…な、涙が…。
こちらは妖怪が見えてしまう少年が、祖母の遺品を見つけてしまった事から始まる日々なんですが、
妖怪と人間を巡るエピソードの切なさに泣けて泣けて仕方ない。
他人と自分が見えているものが違う、すなわち自分と他人では世界が違う、という重い枷を背負っているからこそ、他人に対しても妖怪に対しても優しくなれる少年の存在が悲しく、愛しいです。
そしてその相方を務める招き猫型妖怪(というとなんかドラ●もんのようだ)、にゃんこ先生が可愛い。
読後感はずっしりと重いながらも爽やかです。感動の涙を流したい方におすすめ。