ここのところ読んだものいろいろ

エマ (6)
エマ (6)
posted with amazlet at 05.09.13
森 薫
エンターブレイン (2005/08/31)
売り上げランキング: 95

ものすごい展開に衝撃を受けたんですけど。いやあまさかこんなことになるとは。でも少女マンガ(30年くらい前のですけど)では王道ですよね。人○○○ネタ。そんなエマの世界が大好きです。ところで、「ブルーのタフタ」のドレスっつったらポーの一族 (1) (小学館文庫)へのオマージュですよね。時代的にも重なるくらいかな? 他の感想をざっと見たんですが言及している人がいなかったので、私の記憶違いかと不安になりつつ。って私がトシを取っただけなのか…。

響き交わす鬼
響き交わす鬼
posted with amazlet at 05.09.13
東 雅夫
小学館 (2005/09/06)
売り上げランキング: 1,395

アンソロジストで怪奇幻想文学評論家・東雅夫氏の妖怪文藝アンソロジー第2弾は仮面ライダー響鬼がテーマ! という事で刊行予定を聞いた時から楽しみで仕方がなかったのですが、実際発売されて読んでみたらこれが面白くて仕方ないんですよ。収録されているのは様々なジャンルの作品なのですが、どれも味わい深くて傑作揃い。悪役として扱われてきた「鬼」と魔化魍のモチーフになった妖怪がテーマなのですが、「鬼」テーマの短編の中では霧島ケイ氏の書き下ろし「鬼の実」が特に好き。是非連作短編として単行本を出して欲しいくらい。「魔化魍」テーマだと椋鳩十の「教科書では絶対読めない」意外な短編がなかなか面白くて。
もともと幻想文学とは合わないなあ、と思っていて、東氏の評論は大学時代から読んでいたもののなかなかそれ以上進めることをしてこなかったのですが、このアンソロジーを読んでから手を伸ばしたい作家が一気に増えてしまいました。そういう意味でも東氏と響鬼に感謝、です。
加門七海氏と霧島ケイ氏の「響鬼」対談も良かったです。頷ける所多数。
以下は対談を読みながら再発見したこと。
実は私は基本的にヒーローものが苦手です。特に正義の味方ものは苦手な部分に入ります。何故かというとヒーローが最終的には自分の信念を暴力で相手に押し付けねじ伏せることで秩序を回復させる世界観に疑問を感じるからです。新本格系(っていうのももう懐かしい言い方だな)ミステリでは登場人物である探偵役が得てしてジレンマを抱え込むようになるエピソードがちらほらありますが、例え偽善と言われようが物語の主役が常に自らの行動に対して自問自答をし続ける態度の方が、私はシンパシーを感じます。「仮面ライダークウガ」で主人公・五代雄介は最終的に変身を解いて涙を流しながら自らの拳を振るいました。そして「仮面ライダー響鬼」では、明日夢という「自らが彼にとっての人生の先輩でありたいと願う他者の視点」を得て、常に「鍛え続け」ようとする主人公・ヒビキの姿が描かれていました。
新路線にがっかりしたのは、多分、私がヒビキさんの自問自答する姿を感じられなくなったからなのだろう、と思います。
ただまだ新しい路線は動き始めたばかりです。とりあえず物語の全てが完結してみないことには何とも言えませんしね。見守るしかないのかな、と思います。