あっという間に読了

アマゾン・ドット・コムの光と影

アマゾン・ドット・コムの光と影

手をつけ始めたらそのまま一気読みしてしまいました。内容的には結局何が言いたいのかわかんなかったんですが、アルバイト現場のルポなのね〜、という事でまあ気軽に。
物流センターの様子を読んでて思ったのが、大学時代に一時期バイトしていたダイソーの商品出荷倉庫業務によく雰囲気が似てるよなあ、と。ダイソーの場合は巨大な倉庫があって、各店から送られてきた注文ファックスを元に、倉庫内で台車を転がしながら商品をピックアップし梱包、配送トラックが待機している場所まで持っていく、という仕事だったんですが。時給も似たようなものでした。歩きまわるし暑いしきついしですぐに辞めましたが(根性なし)。
その時の経験があったのでアマゾンのシステムには納得。多くの品目からより早くお客様の元へ、というシステムを突き詰めたら似たようなものになるんでしょう。

一方書店としてはどうかという事を考えてみると。
私の住んでいる県に限ってですが、大概の書店はアマゾンの物流のバイトより時給低いです。
正社員でも30過ぎで手取り20万行かないという話も聞いたことがあります(中途採用ですが)。
で、大概の書店には正社員を雇う余裕なんぞないので、自然にバイト・パートが増えます。
バイト・パートだと余程大手の書店でも時給7〜800円がいいところ、田舎の小さな書店だと最低賃金と同レベルがせいぜい(ちなみに650円に届きません)。
当然熱意だけじゃ続きません。家庭が出来ると業界から離れていく人も多いです。店長になれる人はほんの一部だし、なった所でさらに過酷な責任と長時間労働が待ってます。
そうして過去の人が培ってきたノウハウは継承される事もなく、アルバイト・パートだと収入は欲しいけど本にはあまり愛着のない人も多いですから…。
こうして(大書店はどうか知りませんが)地方の書店は行っても良い本がない→客足遠のく→売上落ちる→人件費減らす→人材流出→いい本がない…の恐怖のスパイラルに突入する訳です。
(本がない事については他の理由も山程ありますが詳しくはだれが「本」を殺すのか〈上〉 (新潮文庫)参照)
こりゃあすぐに在庫状況がわかって売れ筋本やそうでないものの在庫も山程あるアマゾンにお客さん流れて当然ですわな。書店に行っても書店員が問い合わせた本の存在を知らないなんてザラですが、検索エンジンがしっかりしてると、「え、そんな本あるんですか」なんて間抜けな答えが返ってくることもないし。*1
何より今現在、書店の数はガンガン減ってます。1時間かけて遠くの書店に行くよりはアマゾンで買った方が安かろう…。

こうして現在の書籍販売システムは、アマゾンのやっている事に対する否定があんまり出来ません。一番の問題はそこかもしれない。

都市圏はそうじゃないと思います。でも私が住んでいるような田舎じゃ、まず本に対する姿勢がまともな本屋さん自体があんまりないです。マーケットが小さいって事もありますけど。

え、私ですか?もちろんアマゾンのバイトより時給低かったですよ?(泣)

*1:もっとも年間6万点以上発売される状況で全部覚えろって方が無理ですが